不動産屋の気になるNEWS!投機目的のマンション転売抑制「千代田区業界団体に要請」 | センチュリー21グローバルホーム
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不動産屋の気になるNEWS!投機目的のマンション転売抑制「千代田区業界団体に要請」
不動産屋の気になるニュース 2025年9月号(No.52)
投機目的のマンション転売抑制
「千代田区業界団体に要請」
業界に衝撃‼
業界にとって、とても熱い!?ニュースが飛び込んでまいりました。今月はまさに「不動産屋の気になるニュース」をお届けしたいと思います。
7月18 日に東京都千代田区が不動産業界団体への要請として突然プレスリリースを発表したのですが、その中身が衝撃的でした。どんな中身だったかと申しますと・・・。
1.総合設計などの都市開発諸制度を活用する事業及び市街地再開発事業(これから許認可等を受ける事業とし、以下「再開発等事業」という。)において販売するマンションについては、購入者が引き渡しを受けてから原則5 年間は物件を転売できないように特約を付すこと。
2.上記1 のほか、再開発等事業において販売するマンションについては、同一建物において同一名義の者による複数物件の購入を禁止すること。
というものでした。要請の理由としては
「千代田区内でマンション等の住宅価格の高騰が続いており、同時に国外からの投機を目的としたマンション取引が行われている」
「投機目的のマンション取引が増えることにより、過度な住宅価格の上昇や賃貸住宅の賃料が高騰し、区内に住みたくても住めない人々がいる」
ことなどが上げられていました。確かに東京都心は特にマンションの高騰が続いており、8 月の東京23 区の新築分譲マンション平均価格は1 億3,000 万円を超えています。合わせて賃料なども軒並み上がっていて「もう住めなくなる・・・」という嘆き節も理解できます。
また、千代田区が実施したマンションの居住実態調査では今年新築した分譲マンションのなんと7 割に居住実態がないという事実も判明し、今回このような要請に至ったものとみられます。

私は決して排斥主義者ではありませんが、確かにこの千代田区のケースに限らず、重要施設土地や水源、また様々な影響の可能性がある日本国内の大事な土地を外国人が自由に買える状況は一刻も早く改善し法整備するべきだと思います。
ちなみにオーストラリア、ニュージーランド、カナダなどでは外国人による住宅購入を部分的に禁止しています。ロンドンなどの大都市では、外国人が2 軒目以降を購入する場合、追加課税や保有条件を課すのが一般的です。また、シンガポールでは外国人は1 軒目の購入から追加印紙税(6060%)が課され、短期転売にも課税しています。また、香港は24 カ月以内の転売に高率の特別印紙税2020%を課しており、転売目的を抑え込む実質的な制裁金となっているなど、いずれも自国民とは差別化を図っており、外国人によるマンション取得へのハードルを大きく上げています。
基本的には「居住の安定」を政策目的に掲げ、国籍を問わず投機的な買い占めを抑制しているのがスタンダードですが、日本はこういった不動産に関する外国人投資の規制をしていません。
どこまで効果があるのか!?
今回の要請はあくまで「お願い」「協力してくださいね」というものであり現時点で「法的な拘束力」は持っていません。宅建業法や民法、借地借家法の範囲で売主・買主が一定期間の転売禁止などを特約することはありますが、基本的に一定期間の転売などを禁じるような法律はありませんので私的な財産権の売買に関して行政がこのような要請をしてくることは異例と言えます。
いずれにしてもこれからどのような対応になっていくかなどは業界の動きや各デベロッパーがどう捉えていくかによって整備されていくと思いますが、仮に転売禁止の特約があっても何かの事情で売却せざるを得なくなった民間の方がこの要請を守らず売却したからといって罰則規定が設けられているわけではないですし、デベロッパー側も買戻し特約は難しいでしょうから現実的にどこまで有効になっていくのかは未知数です。
しかし株式市場の反応は素早かったようです。収益悪化や販売制限などの懸念から、この発表のあった後、三井不動産は2.92.9%、住友不動産は2.12.1%、三菱地所は2.42.4%、野村不動産は2.42.4%も株安となる場面があったそうなので、影響は少なからずあると思います。
転売ヤーを止められるのか!?
不動産には居住するという大きな目的があります。人気の街や都市はそこに人が集まり、文化や様々なコミュニティーが生まれるからこそ価値が高まりますし、発展成長していきます。いくら高級なマンションであろうと、利便性の高い立地であろうと、ゴーストタウンのように人が住んでいなかったら逆に不安になりますし、民泊などで不特定の方が出入りするようなマンションでは安心して暮らせないと思います。
ましてや日本人が自国の不動産を頑張っても買えず外国人にどんどん買われて益々高騰していくのは住宅政策として打つ手が必要だと思います。
一方で不動産には「投資」という側面があることも事実です。
私自身も生業として不動産を購入し「短期で転売」して利益を上げさせていただいています。ただ、私はいわゆる「転売ヤー」とは一緒にしてほしくないと思っています。購入した不動産をリフォームなどで再生し、今のライフスタイルに合うよう様々な工夫をする、また古くなった家を解体し、新たな住宅を建てる、複雑な権利関係や問題を解決して流通しやすくするなど、少なからず経費や手間をかけて不動産の利用価値や付加価値を上げてから転売をしています。
いわゆる転売ヤーは買っても手を加える事はしません。右から左に流して利益を得るだけです。バブル期などは買った翌日には土地が値上がり、不動産屋は何もせずに土地を何回転もさせていたという時代もあったそうですが、それは商売とは呼べないと思います。
住宅に限りませんが、いろいろな分野でも転売ヤーが儲けています。今年のドジャースVS ジャイアンツのチケットなど最後はなんと90 万円ですよ!本当に見たい人は見られません。ハッピーセットも買えません。そもそも最初に入手するという事に苦労などもあるのでしょうが、ただ何もせず転売利益だけを目的とした購入には制限が有っても良いと思います。
希少性のあるもの、どうしても欲しい人などにとっては入手のチャンスとなりますので転売自体の否定はしませんが、皆様はどう感じますでしょうか?
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