不動産屋の気になるNEWS!改正建築基準法「4号特例縮小の影響は?」 | センチュリー21グローバルホーム


  • 不動産屋の気になるNEWS!改正建築基準法「4号特例縮小の影響は?」



    不動産屋のになるニュース 2025年3月号(No.46)
    改正建築基準法
    「4号特例縮小の影響は?」


    皆さんこんにちは。今年の冬も厳しい寒さが続いていますね。
    特に日本海側を中心とした大雪は大変な影響が出ています。雪解けとなる春の温かさが恋しくなる季節ですが、そうなるとあの厄介な花粉が猛威をふるいます。
    私は花粉症なので何とも悩ましい季節ではありますが、花粉に負けず今月も不動産屋の気になるニュースをお届けしたいと思います。
     

    4号特例とは

    2025年4月より改正建築基準法により「4号特例」が縮小されることになりました。これによって住宅の建築やリフォーム、また不動産業界へはどのような影響が出るのでしょうか?

    多くの方が購入や建築をする木造2階建てはこれまで省略されていた審査が必要となったり提出する書類が増える等、大きな改正となりますが、そもそも4号特例とは何なのでしょうか?

    4号特例は建築基準法に定められており「建築基準法第6条第1項第4号」に該当する小規模建築物で、木造と非木造で条件が異なりますが、木造では「2階建て以下」かつ「延床面積500㎡以下」かつ「軒高9m以下もしくは高さ13m以下」となっており、非木造では「平屋」かつ「延べ床面積200㎡以下」が該当する建築物となります。

    これら4号建築物に該当するものは建築確認審査の一部を省略でき、構造計算書を提出しなくても良いとされていました。ただし、4号特例が適用される建築物は設計士が設計したものでなくてはなりません。

    4号特例が導入されたのは1983年。当時日本は高度経済成長期を迎えており、経済成長に伴って住宅の着工件数が急増した結果、建築確認や審査を担当する人員が不足し、対応が追いつかなくなる事態が発生、この状況を緩和するために4号特例が導入されたのでした。


     

    ちなみに4号があるという事は1号、2号、3号もあり、1号は学校や病院、工場と言った200㎡超の特殊建築物、2号は木造3階建て以上または延べ床面積500㎡以上、3号は木造以外の構造で2階建て以上もしくは延べ床面積200㎡超の建築物となります。

    今年4月からはこの分類が変わり4号建築物が廃止され新2号建築物と新3号建築物に分類されます。
    新2号建築物は「木造2階建て」または「木造平屋建て」「延べ床面積200㎡超」で、新3号建築物は「木造平屋建て」かつ「延べ床面積200㎡以下」となります。

    つまり、これまで「4号建築物」とされていた多くの2階建て木造住宅が4月からは「新2号建築物」に該当するという事になり、これまでの木造3階建てなどと同じ分類となります。
     

    4号特例縮小の背景とは

    2025年4月からはこれまで任意だった省エネ基準への適合が義務となります。省エネ基準は断熱性能の向上などの措置を定めたものですが、これまで省エネ性能に適合させることは義務ではありませんでした。
    もちろん任意に断熱性能を高めて建築された家も多くありますが、住宅によって差が大きかったのが実情でした。

    これからはすべての住宅が省エネ基準に適合しなくてはならない事になり、建築確認申請にこれまで添付されていなかった省エネ関係の書類添付が必要となります。

    もう一つは耐震性の強化です。昨今の地震による被害を抑えるためには耐震性の向上が必須と言われていますが、こちらもこれまで4号建築物では省略されていた「構造計算書」の添付が義務付けられます。
    この構造計算書の提出を義務付けることにより耐震性を確実に担保することになり、住宅の質をより高めていこうという政府の方針が伺えます。

     

    4号特例縮小の影響は?

    まず、提出図書が増えることでそれらを作成する時間や業務量が増えます。また審査項目も増えることで建築確認申請の手続きなどに時間が掛かり、結果的に全体の工期が伸びることになります。
    また設計事務所などはそれらに対応するための人員確保や業務量の増加に伴い人件費や経費が嵩み、その分が住宅価格を押し上げる要因にもなります。
     

    また、新築だけでなく、リフォーム工事にも一部影響が出てきます。これまで4号建築物については建物全体に渡るような大規模リフォームであっても増改築を伴わない場合一般的に建築確認申請を行う事はありませんでしたが、今後は建築物の主要構造部(壁・柱、床、針、屋根、階段)の50%を超える大規模修繕や模様替えを行う場合は建築確認申請が必要となりました。
    なお、キッチンやトイレの交換、構造に影響しない床の張替えや屋根・外壁の塗装等のリフォームには建築確認申請は必要ありません。
     

    このように今まで省略されていたことが縮小されたことで影響を及ぼす部分も出てきますが、とはいえ、構造と耐震性が強化され、省エネ性能が裏付けられるというのは住宅の品質が上がり資産価値を高める事にも繋がるので、これから住宅を建てたり購入したりする人にとっては良いことではないでしょうか。


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