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不動産屋の気になるNEWS!住宅確要配慮者への入居促進「改正住宅セーフティネット法施行」
不動産屋の気になるニュース 2025年10月号(No.53)
住宅確要配慮者への入居促進
「改正住宅セーフティネット法施行」
住宅セーフティネット法とは?
近年の持ち家率の低下、少子高齢化や単身世帯の増加、また低所得者や障碍者といった「住宅確保要配慮者」の賃貸住宅のニーズが高まっている一方で、賃貸オーナーにとっては入居者の孤独死や残置物処理、家賃滞納といったリスクへの不安から、特に単身高齢者の入居への拒否感が強いという実態がございます。
2030年には、高齢者世帯が約1500 万世帯を超え、そのうち単身高齢者世帯は約900 万世帯に迫る見通しだと言われる背景のなか、今回の改正では近年の入居世帯の変化を踏まえ、複数の制度創設や行政手続きの簡素化・円滑化を行い、特に単身高齢者や障碍者といった「住宅確保要配慮者」の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進し、居住の安定を図るために2025 年10 月より施行されるのがこの改正住宅セーフティネット法です。
では、不動産事業者を始め、賃貸住宅オーナーや福祉サービスに関係する方が把握しておくべきポイントなどを整理してみたいと思います。
住宅セーフティネット法、改正のポイントは?
改正住宅セーフティネット法は以下の3 つのポイントがあります。
①賃貸オーナー・要配慮者の双方が安心して利用できる市場環境(円滑な民間賃貸借契約)の整備
②居住支援法人等を活用し、入居中サポートを行う賃貸住宅の供給を促進
③住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化
まずは賃貸オーナーと要配慮者の双方が安心して利用できる市場環境の整備から見てみましょう。冒頭でも触れましたが賃貸オーナーにとって一番のリスクや不安は孤独死や残置物処理、家賃滞納が上げられると思いますが、それらの不安を解消するための仕組みがこちらです。
■「賃貸借契約が相続されない」仕組みの推進
終身建物賃貸借制度の認可手続きが簡素化されます。原則として60 歳以上の高齢者が死亡するまで更新もなく賃貸借契約が続き、死亡時に終了するという制度です。また相続人に賃借権が相続されず(配偶者や等は継続居住の申し出も可)一代で終了します。この終身建物賃貸借の制度を利用できるのは知事等の認可を受けた住宅のみでしたが、今回の改正によって住宅ごとの認可から事業者の認可制度へと広がったため、この制度を利用できる住宅が増えると考えられます。
■「残置物処理に困らない」仕組みの普及
入居者が死亡した場合に円滑に残置物処理するため、居住支援法人の業務に、入居者からの委託にもとづく残置物処理を追加します。具体的には、国交省が公表している残置物の処理等に関するモデル契約条項を活用します。
■「家賃の滞納に困らない」仕組の創設
要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者(認定保証業者)を国土交通大臣が認定します。認定基準は、居住サポート住宅に入居する要配慮者の家賃債務保証を原則引き受ける、緊急連絡先を親族などの個人に限定しないといった項目となります。また要配慮者への保証リスクについては、住宅金融支援機構(JHFJHF)の家賃債務保証保険による低減を図ります。
続いて居住支援法人等を活用し入居中サポートを行う賃貸住宅の供給の促進ですが、新たに市区町村が認定する「居住サポート住宅」制度を創設します。
居住サポート住宅とは、居住支援法人等が賃貸オーナーと連携して、要配慮者の住宅には安否確認用のセンサーを設置したり、居住支援法人が訪問したりすることで見守り、要配慮者の生活や心身の状況が不安定になったときは福祉事務所や高齢者福祉の相談窓口、母子家庭等就業自立支援センターなどへつなぐといった支援を想定しています。
また、生活保護受給者が入居する場合、住宅扶助費(家賃)について、特例として保護の実施機関が賃貸人に直接支払う「代理納付」を原則とします。入居する要配慮者は認定保証業者が家賃債務保証を原則引き受けることになります。
これにより入居後の変化やトラブルにも迅速に対応できることになり、不測の事態へのリスクが提言され賃貸オーナーにとっても貸しやすい環境が生まれやすくなると考えられます。
最後に住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化に向けては、国土交通大臣及び厚生労働大臣が共同で基本方針をつくり、市区町村による居住支援協議会を設置するよう働きかけ、空き家・空き室、地域資源を活用し、住宅と福祉が一体となった居住環境の整備を進めます。

今後のさらなる需要に向けた対策を!
そもそも住宅セーフティネット法は、低所得者や高齢者といった住宅確保要配慮者が安心して賃貸住宅に入居できることを目的に制定された法律で、2017 年から運用されています。
しかし、賃貸オーナーには家賃滞納や孤独死といったリスクが課題となり、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅として登録する心理的なハードルが高い状況でした。
今回の改正により様々な仕組みが創設されたことにより家賃滞納リスクや孤独死リスク、入居者死亡時の手間やトラブルなどのリスクを大幅に軽減できるようになったと思います。
今後は、さらなる少子高齢化が進むなかで、住宅需要の多様化や高齢者を中心とした入居支援の需要が一層高まることが予想されます。不動産会社としては、賃貸オーナーに対し本制度の意義やメリットをわかりやすく説明し、登録を促す提案ができなくてはなりませんので、もっと勉強していこうと思います。
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